【香川】さよなら宇高連絡船 109年の歴史に幕

岡山県宇野港香川県高松港を結び、瀬戸内海を往復する「宇高連絡船」が15日夜、最終の運航を終え、109年の歴史に幕を閉じた。

 利用客の減少による経営悪化に歯止めがかからず、休止を余儀なくされた。

 四国急行フェリー(高松市)が運営する「宇高航路」は1910年に旧国鉄鉄道連絡船として開設され、片道約21キロメートル。最盛期の87年には複数の民間会社が1日計約150便を運航し、年間約400万人が利用した。

 だが、88年の瀬戸大橋開通で利用客は急減し、各社が次々撤退した。四国急行フェリーは運賃見直しや便数減などでコスト削減を図ったが、昨年度は約1億円の赤字を計上。今月11日、国土交通省四国運輸局に休止届を提出し、受理された。

 同社によると、運航休止を発表してから乗客は前年の2、3倍に増えた。同社は「経営環境が整えば再開できるが、現状では難しい」としている。

 高松港初の最終便の船内では、名物のうどんを販売する店に行列ができた。広島県福山市介護士猪原弘士さん(59)は「電車での駅弁のようなもので、船とうどんはセットだった」と往時を振り返った。

 岡山市の河本万由美さん(46)は「なくなると寂しい。家族と水族館に行くために乗っていた」と子どもの頃の思い出を懐かしんでいた。

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