【野球】そのワンプレーが全てを変えた! 思わず「グッジョブ」と言いたくなるプロ野球選手の妙技

プロ野球ストーブリーグに突入した。各チームの来季へ向けた補強戦略なども気になるところだが、シーズンオフとなり、プロ野球がない日々に寂しい思いをしている方も少なくないだろう。そこで、今回は「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏が懐かしの“B級ニュース"をお届けする。今回は「グッジョブ!」編だ。

 プロ野球のみならず、メジャー関係者をもあっと驚かせた“世紀の超美技"が生まれたのが、1981年9月16日のロッテvs阪急(西宮)だ。

 1回表、ロッテは1死後、2番・弘田澄男がレフトに大飛球を放つ。誰もが先制ホームランと思った直後、なんと、背走していたレフト・山森雅文が右足をラッキーゾーンの金網にかけて一気に駆け上がると、左足を最上部にかけて、中空高く左手を差し出して逆シングルでスーパーキャッチした。スタンドのファンが度肝を抜かれたのは言うまでもない。

「年俸を200万円ぐらいアップする価値がある」と評したのは、センターからこのプレーを見ていた福本豊。74年のオールスター第2戦(同)で田淵幸一が左中間に放った本塁打性の飛球をフェンスによじ登ってキャッチしたこの道の先輩も認める“200万円のGJ"だった。

 実は、山森は日ごろからこの練習を繰り返しており、「フェンスには無意識でよじ登った」そうだが、見事本番で練習の成果が出た。

 山森にピンチを救われた阪急はその裏、高井保弘の左越え2ランで先制し、3対1で勝利を収めた。

 このスーパープレーは、海の向こうのアメリカでも大反響を呼び、2年後の83年にメジャーリーグコミッショナーからベストファインプレー賞が贈られた。

 受賞の知らせを聞いた“塀際の魔術師"は、「えっ、本当ですか。僕はもう忘れかけていた。身震いするほど光栄です」と大感激だった。

 山森はオリックス時代の90年5月3日の日本ハム戦(神戸)でも、2点リードの7回にデイエットの本塁打性の大飛球を高さ1.5メートルのフェンスに左足で飛び乗り、右手で金網につかまりながらグラブを伸ばしてミラクルキャッチ。「前のとき(9年前)より今日のほうがちょっと余裕があった」と、文字どおり余裕のコメントを残している。

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